都心部からの人口流出!在宅ワーク普及後の人口増減ベスト3(東京23区)

コロナ禍における在宅ワークの普及によって東京都では転出超過が進行しているため、都心部の物件に投資をするにあたって賃貸需要の減少を懸念する投資家も多いでしょう。

 

東京都人口統計課の発表によれば、2021年1月から8月の間で東京23区の人口は0.16%減少(9,732,290人→9,716,517人)したとのことです。

 

コロナ前の5年間(2015年〜2019年)の東京23区では、人口が年間平均1.17%の割合で増加しており、各月の前年同月比が60ヶ月間で一度もマイナスになっていないという事実を踏まえると、東京23区の人口が減少しているというのは看過できない変化といえるでしょう。

 

在宅ワークの普及による影響はオフィスマーケットにも及んでおり、都心部ではオフィスの空室率が2014年以来の高水準となっています。

 

今後も在宅ワークが定着すると、家賃が高くても職場の近くに住みたいというニーズから郊外に住んで家賃を抑えたいというニーズへの移行が加速するかもしれません。

 

本記事では、2021年の東京23区で人口増加が最も多い区ベスト3および人口減少が最も多い区ベスト3を紹介したうえで、コロナ後の物件選びで重要になると考えられる点について解説します。

 

 

【目次】

 

1-在宅ワーク普及後の人口増加エリアベスト3

┗1-1 1位. 中央区(+0.54%)

┗1-2 2位. 墨田区(+0.21%)

┗1-3 3位. 江東区(0.14%)

2-在宅ワーク普及後の人口減少エリアベスト3

┗2-1 1位. 新宿区(-0.61%)

┗2-2 2位. 豊島区(-0.50%)

┗2-3 3位. 江戸川区(-0.45%)

3-23区での物件選びはより一層慎重さが求められる

4-まとめ

 

在宅ワーク普及後の人口増加エリアベスト3

 

東京都によれば、在宅ワークが普及した2021年において、最も人口が増加した区ベスト3は以下の表の通りです。

 

 

a.変動率
(2021.1〜8)
b.年間平均変動率
(2015〜2019)
差 (a-b)
1位. 中央区 0.54% 4.25% 3.71%
2位. 墨田区 0.21% 1.33% 1.13%
3位. 江東区 0.14% 1.22% 1.08%

※東京都人口統計課のデータより

 

 

1位. 中央区(+0.54%)

 

中央区は千代田区および港区と並んで「都心3区」と呼ばれ、東京23区の中でも都心のエリアです。中央区には銀座、八重洲、日本橋といった都内でも最大級のオフィスや商業施設が立ち並ぶエリアや、勝どき、月島、晴海といったタワーマンションが林立する湾岸エリアなどが含まれます。

 

コロナ禍の23区で最も人口が増加しているエリアであることに加え、2015〜2019年の年間平均変動率が+4.25%と23区で最も高いことから、根強い人気と賃貸需要があるエリアといえます。

 

中央区における2021年の変動率は+0.54%、2015〜2019年の年間平均変動率は+4.25%で、その差は3.71%(23区中1位)となっています。

 

コロナ前後の人口変動が23区で最も大きいことから、中央区は在宅ワークの普及による人口変動の影響を最も大きく受けたエリアであると評価できるでしょう。

 

 

2位. 墨田区(+0.21%)

 

墨田区は23区内の東部に位置する区で、東京スカイツリー、江戸東京博物館、両国国技館といった観光スポットがあり、都心部へのアクセスも良好なエリアです。

 

墨田区における2021年の変動率は+0.21%、2015〜2019年の年間平均変動率は+1.33%で、その差は1.13%(23区中18位)となっています。

 

コロナ前後で人口の変動率に大きな差が生じていないことから、墨田区は23区の中で比較をすると、在宅ワークの普及による人口変動の影響をさほど受けていないエリアであると評価できるでしょう。

 

 

3位. 江東区(0.14%)

 

江東区は2021年の東京オリンピックに合わせてタワーマンションや商業施設などの大規模な開発が盛んに行われた、豊洲や有明といった湾岸エリアなどを含む区です。

 

湾岸エリアはオリンピック後もさらに開発が進められる計画があるため、2021年以降も賑わいを見せるエリアとなることが見込まれています。

 

江東区における2021年の変動率は+0.14%、2015〜2019年の年間平均変動率は+1.22%で、その差は1.08%(23区中19位)となっています。

 

コロナ前後で人口の変動率に大きな差が生じていないことから、江東区は23区の中で比較をすると、在宅ワークの普及による人口変動の影響をさほど受けていないエリアであると評価できるでしょう。

 

 

在宅ワーク普及後の人口減少エリアベスト3

 

東京都人口統計課のデータによれば、在宅ワークが普及した2021年において、最も人口が減少した区ベスト3は以下の通りです。

 

a.変動率
(2021.1〜8)
b.年間平均変動率
(2015〜2019)
差 (a-b)
1位. 新宿区 -0.61% 1.44% 2.05%
2位. 豊島区 -0.50% 1.16% 1.66%
3位. 江戸川区 -0.45% 0.72% 1.17%

※東京都人口統計課のデータより

 

 

1位. 新宿区(-0.61%)

 

新宿区は世界で最も乗降客数が多い駅である「新宿」駅、西新宿高層ビル群のオフィス街、歌舞伎町の歓楽街などを含む区です。

 

2021年では23区の中で最も人口が減少していますが、2021年以降に新宿駅周辺を中心に大規模な再開発を控えており、新宿区は商業施設やエンターテインメントの拠点として生まれ変わるでしょう。

 

再開発によって新たな雇用が創出されたり、より住みやすい街になったりすることで、新宿区の人口は再度上昇に転じる可能性は大いにあると考えられます。

 

新宿区における2021年の変動率は-0.61%、2015〜2019年の年間平均変動率は+1.44%で、その差は2.05%(23区中6位)となっています。

 

コロナ前後の人口変動が比較的大きいことから、新宿区は23区の中で比較をすると、在宅ワークの普及による人口変動の影響をやや大きく受けたエリアであると評価できるでしょう。

 

 

2位. 豊島区(-0.50%)

 

豊島区は世界で乗降客数が3番目に多い駅である「池袋」駅、東京芸術劇場、サンシャインシティ(大型複合レジャー施設)などを含む区です。

 

豊島区における2021年の変動率は-0.50%、2015〜2019年の年間平均変動率は+1.16%で、その差は1.66%(23区中8位)となっています。

 

コロナ前後の人口変動が比較的大きいことから、豊島区は23区の中で比較をすると、在宅ワークの普及による人口変動の影響をやや大きく受けたエリアであると評価できるでしょう。

 

 

3位. 江戸川区 (-0.45%)

 

江戸川区は葛西臨海公園などを含み、南部は千葉県浦安市と隣接しているため東京ディズニーリゾートへのアクセスが良い区です。

 

都心部のようなオフィス街はなく、都心に出勤や通学する人たちの居住地エリアという側面が強いエリアでしょう。

 

江戸川区における2021年の変動率は-0.45%、2015〜2019年の年間平均変動率は+0.72%で、その差は1.17%(23区中17位)となっています。

 

コロナ前後で人口の変動率に大きな差が生じていないことから、江戸川区は23区の中で比較をすると、在宅ワークの普及による人口変動の影響をさほど受けていないエリアであると評価できるでしょう。

 

23区での物件選びはより一層慎重さが求められる

 

東京都によれば、以下の表のように2021年の東京23区では23区中17区で人口が減少しています。

 

変動率
(2021年1〜8月)
年間平均変動率
(2015〜2019年)
中央区 0.54% 4.25% 3.71%
墨田区 0.21% 1.33% 1.12%
江東区 0.14% 1.22% 1.08%
台東区 0.08% 1.66% 1.58%
文京区 0.05% 2.02% 1.97%
練馬区 0.04% 0.86% 0.82%
足立区 -0.02% 0.68% 0.70%
荒川区 -0.06% 0.79% 0.85%
千代田区 -0.06% 3.34% 3.40%
世田谷区 -0.14% 1.03% 1.17%
杉並区 -0.14% 1.16% 1.30%
板橋区 -0.19% 1.10% 1.29%
渋谷区 -0.19% 1.89% 2.08%
中野区 -0.19% 1.37% 1.56%
葛飾区 -0.22% 0.62% 0.84%
大田区 -0.22% 0.96% 1.18%
北区 -0.30% 1.01% 1.31%
品川区 -0.33% 1.84% 2.17%
港区 -0.35% 2.12% 2.47%
目黒区 -0.39% 0.87% 1.26%
江戸川区 -0.45% 0.72% 1.17%
豊島区 -0.50% 1.16% 1.66%
新宿区 -0.61% 1.44% 2.05%
全区 -0.16% 1.17% 1.33%

※東京都人口統計課のデータより

 

最も減少率が大きかった新宿区でも-0.61%と急激な人口減少とはいえないため、2021年の段階では一時的なトレンドと考えられるでしょう。

 

しかし、今後のコロナ禍の状況や在宅ワークの定着状況等によっては23区の人口減少トレンドに拍車がかかる可能性も完全には否定できません。

 

コロナ後を見据えた不動産投資では、マーケットの最新情報を随時チェックしたうえでこれまでよりも一層慎重に物件選びをすることが求められるでしょう。

 

都心の不動産に投資をする際には、都心の不動産投資マーケットを熟知した不動産業者に相談し、必要な情報を揃えたうえで投資判断をすることが重要です。

 

まとめ

 

人口増加を続けてきた東京23区において、人口が減少に転じたというニュースは不動産投資家にとって看過できない非常に重要な事実です。

 

2021年後半以降の人口トレンドがどのように変化するかは、引き続き注視していく必要があります。

 

不動産投資は借り手がいてはじめて成り立つビジネスモデルであるため、長期的に人口が安定することが見込まれるエリアの物件に投資できるかがコロナ後の不動産投資の成否を分けるポイントとなりそうです。

 

なお、本記事における解説情報はあくまで一般論であり、個別具体的な考え方や手法は投資物件によってケースバイケースです。より詳細な情報やノウハウ等については、お気軽にお問い合わせください。

 

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